空き家のリフォームやリノベーションにかかる費用は？節税効果もご紹介

所有している空き家は、リフォームやリノベーションによって活用しやすくなるとされています。
しかし、リフォームやリノベーションにはそれなりに費用がかかるうえ、メリットだけでなくデメリットも発生するため注意が必要です。
今回は、空き家のリフォームやリノベーションをおこなうメリットとデメリット、工事にかかる費用や節税効果についてご紹介します。

空き家のリフォームとリノベーションのメリットとデメリット

築年数が古い空き家などは、そのままでは売却が難しいこともあります。
そのため、リフォームやリノベーションを実施してから売却や賃貸経営に回す方もいるでしょう。
リフォームやリノベーションでは、建物の不具合を直したり間取りを変更したりして工事をおこないます。
このような工事にはメリットもあればデメリットもあるため、それぞれをしっかり把握しておくことが大切です。

空き家のリフォームやリノベーションにおけるメリット

空き家のリフォームやリノベーションのメリットは、買い手がつきやすくなり活用しやすくなることです。
古い空き家では、購入してもそのまま使用するのが難しいほど劣化が進んでいることもあります。
そのような空き家は購入後にリフォームやリノベーションをおこなわなければならないため、そのままでは売却が難しいです。
売却前に工事をおこなっておくことによって、購入におけるデメリットをなくして買い手がつきやすい状態にできます。
また、売却期間中に倒壊するリスクを軽減でき、空き家を無事に売却できる可能性が高まるでしょう。

空き家のリフォームやリノベーションにおけるデメリット

空き家のリフォームやリノベーションを実施するデメリットは、工事に費用がかかることです。
どこからどこまでの部分を工事するのか、その規模によってかかる費用は異なります。
しかし、リフォームやリノベーションの工事にかかった費用を売却価格で回収できるとは限りません。
価格に工事費用を上乗せすると、高いと思われて敬遠されたり、値下げを要求されたりする可能性があります。
とくに空き家の立地が悪いときなどは割高な印象を持たれやすいです。
リフォームやリノベーションを実施するのであれば、空き家の相場と工事費用のバランスをよく検討すると良いでしょう。

空き家のリフォームやリノベーションにかかる費用

空き家のリフォームやリノベーションでは、工事の規模に応じてさまざまな費用がかかります。
そのため、事前にどの程度までなら工事にお金をかけられるのか予算を決め、どこの工事をおこなうのかなど優先順位を決める必要があるでしょう。
ある程度どの工事にどれだけの費用がかかるのかを把握しておくと、優先順位も決めやすくなります。

空き家の一部の工事にかかる費用

空き家のリフォームやリノベーションにかかる費用は、どこをどれだけ施工するのかによって相場が異なります。
内装工事をするときに壁紙を交換するのであれば、1㎡あたり800～1,500円程度が相場です。
床材のフローリングを張り替えるのであれば、1畳あたり3～6万円かかります。
また、水回りの工事をするのであればトイレの工事に15～50万円、ユニットバスの交換に50～150万円、洗面所の工事に10～50万円かかるでしょう。
在来の浴室をユニットバスにするのであれば、65～150万円の費用がかかります。
キッチンの工事では50～150万円ほどかかりますが、これらの工事では選択する設備のグレードによっても価格が異なるでしょう。
内窓を設置して二重窓にするのであれば、1か所につき8～15万円かかります。
外装のリフォームでは、外壁の塗り直しに60～300万円かかることもあるでしょう。
平屋の外壁であれば、40～70万円と低廉な価格で塗り直しを実施できる可能性もあります。
屋根の修繕や葺き直しをおこなうのであれば、15～260万円はかかるでしょう。
雨漏り修理が必要なのであれば、1か所につき1～45万円の費用が発生します。
より快適な住宅にするために耐震補強や改修をおこなうのであれば25～150万円、壁に断熱材を敷き詰める工事では1㎡あたり4,000～3万円かかるでしょう。
家を長持ちさせるためにシロアリの駆除や予防対策をおこなうときは、1㎡あたり1,150～3,000円ほどかかります。
すでにシロアリによって基礎部分に劣化が生じているときは、25～100万円以上の費用がかかる可能性があるでしょう。

フルリフォームやフルリノベーションにかかる費用

空き家の間取りを大きく変更するケースなど、家屋を全体的にリフォームすることもあるでしょう。
マンションのフルリフォームでは250～1,000万円、一戸建て住宅では500～2,000万円ほど必要です。
とくに、建物を骨組みだけにしておこなうスケルトンリフォームでは高額な費用がかかります。
その一方で、選択する設備や住宅の規模によっては、比較的安価に工事を済ませられることもあるでしょう。

空き家のリフォームやリノベーションによる節税効果

空き家のリフォームやリノベーションでは、建物や土地にかかる税金を節税できる可能性があります。
節税効果を得るためには、さまざまな要件を満たす必要がある点に注意が必要です。

所得税の節税効果

空き家のリフォームによって、給与所得などその年の収入にかかる所得税を節税できる可能性があります。
10年以上の住宅ローンを組んで中古住宅のリフォームをすると、住宅ローン減税によって所得税を節税することが可能です。
一定の要件を満たしていれば、最大で10年間、年末のローン残高の0.7％が所得税から控除されます。
また、中古住宅に対して耐震工事やバリアフリー工事、省エネ工事など特定の工事をおこなったときに利用できるリフォーム促進減税もあるでしょう。
こちらはローンを組んでいなくても所得税を減税でき、工事の内容によって減額される金額が異なります。

固定資産税の節税効果

空き家のリフォームやリノベーションでは、固定資産税を節税できる可能性があります。
特定のリフォーム工事をおこない、工事の完了から3か月以内に市区町村に申請すると、1年度分減税を受けられるでしょう。
耐震リフォームであれば2分の1、バリアフリーリフォームや省エネリフォームであれば3分の1、長期優良住宅化リフォームであれば3分の2減額されます。
ただし、所得税の節税と異なり固定資産税の減税が受けられるのは1年度分のみです。
数年分の固定資産税が継続して減額されるわけではない点に注意が必要です。
また、リフォームによって建物部分の価値が向上すると、それに応じて固定資産税自体が高くなる可能性もあります。

贈与税も節税できる可能性がある

空き家のリフォームやリノベーションをおこなうときに、親や祖父母など直系尊属から資金援助を受けたときの贈与税を非課税にできる可能性もあります。
床面積50㎡以上の住宅で、20歳以上の方が贈与を受けたとき、一定の要件を満たす住宅は1,000万円、それ以外の住宅であれば500万円まで非課税にできるのです。
所得によっては面積の制限が緩和されるなど、状況によって減税の条件は異なります。
また、自治体によっては独自の減税制度を実施していることもあるため、市区町村に確認してみると良いでしょう。

まとめ

空き家のリフォームやリノベーションによって建物の状態を改善できれば、買い手がつきやすくなる可能性があります。
一方で、リフォームやリノベーションにかかる費用は回収が難しいため、バランスを考えなければなりません。
なお、リフォームやリノベーションを実施すると、所得税や固定資産税を節税できる可能性があります。