【徹底解説】不動産売買の「違約・解約」と「白紙解約」の違いとは?
不動産の売買契約は、買主・売主の双方にとって大きな決断です。しかし、契約後に何らかの事情で「契約を解除したい」となるケースも少なくありません。
このとき、契約の解除が**「違約解約」か「白紙解約」**かによって、支払うべき金銭(手付金・違約金・仲介手数料など)が大きく異なります。誤った理解のまま契約を解除すると、数百万円単位の損失を招く可能性もあります。
今回は、実務に即した事例をもとに、「違約解約」と「白紙解約」の違いをわかりやすく解説するとともに、契約解除時の仲介手数料の扱いについても詳しくご紹介します。
【1】違約解約と白紙解約とは?
◆ 違約解約とは?
「違約解約」とは、契約当事者の一方が契約内容に違反し、解除されることを指します。
違反の内容は以下のようなものが典型です:
売主が登記移転の準備を怠った
買主が期日までに代金を支払わなかった
一方的な都合で契約を破棄した
このようなケースでは契約違反が発生しているため、違反した側が違約金や損害賠償を支払う義務を負うことになります。
◆ 白紙解約とは?
「白紙解約」とは、契約時に定めた解除条件付きの特約が成立せず、契約を「最初からなかったもの」として解消することを指します。
この場合、契約違反ではないため、
手付金は全額返還
違約金も発生しない
契約は無効とみなされる
といった扱いとなります。
重要なのは、「白紙解約」は契約時に明記された解除条件が満たされなかった場合に限り適用される点です。

【2】違約解約と白紙解約の違い一覧
比較項目 違約解約 白紙解約
発生原因 契約違反(債務不履行) 特約条件の不成立
手付金の扱い 買主:没収、売主:倍返し 全額返還
違約金・損害賠償 発生する(契約書記載に基づく) 発生しない
仲介手数料の扱い 原則発生・返還なし 原則不要(または返還交渉が可能)
契約の効果 成立した契約が解除される 契約は初めから「なかったもの」となる

【3】ケーススタディ:実務に即した判断例
ケース①:建築確認が下りなかった → 白紙解約
ある土地に住宅を建てる前提で契約したものの、接道条件や都市計画法の規制により、建築確認が取得できなかった場合、事前に「建築確認取得を条件とする特約」を設けていれば、白紙解約が適用されます。
この場合:
手付金は全額返還
売主・買主いずれにも違約責任はなし
契約は無効として処理
※注意:特約がない場合は「買主の調査不足」とみなされ、違約解約になる可能性があります。
ケース②:買主が「やっぱりやめたい」と言い出した → 違約解約
売買契約を締結後、「気が変わった」「別の物件が良くなった」といった自己都合によるキャンセルは、買主の違約解約に該当します。
この場合:
手付金は没収(放棄)
契約書に基づき違約金の請求あり
仲介手数料も原則支払いが必要
ケース③:売主が登記手続きできない → 売主の違約解約
売主が登記上の手続きを怠っていた、共有者の同意が得られていなかったなどの理由で物件を引き渡せない場合は、売主側の契約違反です。
→ 買主は契約を解除でき、売主は:
手付金の倍返し
損害賠償責任
仲介手数料の負担(場合によっては返還交渉)
となることがあります。

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【4】手付解除との違いも確認
不動産売買契約では「手付解除」という制度もあります。
これは、契約時に定められた一定期間内に、
買主が手付金を放棄する
売主が手付金を倍返しする
ことで、一方的に契約を解除できる仕組みです。
注意点: 手付解除が可能なのは「解除期限まで」。それを過ぎた場合は、契約解除=違約解約として扱われます。
【5】違約解約時の仲介手数料の取り扱い
◆ 契約成立時点で仲介手数料は発生
仲介手数料は、「契約が正式に成立した時点」で発生します。
これは宅建業法に基づいたルールであり、たとえその後契約が解除されたとしても、
契約が違約解約で解除された場合、仲介手数料は原則返還されません。

つまり、違約した当事者は、契約解除後でも仲介手数料を支払う義務があるのです。
◆ 違約者によって費用負担も変化
買主が違約 → 買主が仲介手数料を支払う(没収された手付金と別)
売主が違約 → 売主が支払い、買主側仲介手数料の返還交渉が発生する場合も
媒介契約書や取引実態によって対応は異なるため、仲介会社との事前確認が不可欠です。
【6】まとめ|契約解除の区別が“損を防ぐ鍵”になる
不動産契約を解除する際には、「違約解約」か「白紙解約」かを正しく見極めることが非常に重要です。
✅ 違約解約とは
契約違反による解除
手付金は没収 or 倍返し
違約金や仲介手数料の支払いが発生
✅ 白紙解約とは
特約に基づく正当な契約解除
手付金は全額返還
違約金・仲介手数料は不要なケースが多い
✅ 仲介手数料のポイント
契約成立時に発生
違約解約でも原則返還されない
媒介契約の内容を事前に確認しておくべき
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