不動産売却はキャンセルできる?違約金の相場や方法についても解説

不動産売却はキャンセルできる?違約金の相場や方法についても解説

不動産の売却を進めるなかで、事情により途中でキャンセルを検討せざるを得ない場合もあります。
しかし、契約の途中で売却を取りやめるには、内容に応じた手続きや費用が発生する可能性があります。
とくに契約の種類や締結の段階によって、違約金の有無や条件が大きく変わる点に注意が必要です。
この記事では、不動産売却におけるキャンセルの可否や費用負担、具体的な手続きについて解説します。

不動産売却は途中でキャンセルできるのか

不動産売却は途中でキャンセルできるのか

不動産の売却手続きを進めても、家庭の事情や市場動向の変化で「やはり売りたくない」と感じることがあります。
キャンセルは可能ですが、契約の段階によって手続きや費用が大きく異なるため、状況を正確に把握することが重要です。
以下では、主な理由や違約金の考え方、実際のケースを整理して見ていきます。

キャンセルの主な理由

キャンセルの理由は、大きく2つあります。
1つ目は家族の心変わりで、思い出の詰まった住まいを手放したくないという感情が再燃するケースです。
相続した実家を売りに出したものの、兄弟間で「もう少し活用を考えよう」と意見が変わるといった例も少なくありません。
2つ目は、提示価格への不満です。
査定額が高かったのに実際の購入希望額が大きく下がった場合、売主は「この水準で売ると損をするのでは」と判断して見直しを図ります。
周辺で似た条件の物件が高値成約した情報を知り、再度価格交渉を試みたいと考えることも動機になります。
このように感情面と金銭面の双方が複雑に絡み合うため、家族会議と資金シミュレーションを並行させることが不可欠です。

違約金の発生

媒介契約のみの段階であれば、法律上の違約金は原則発生しませんが、広告費や調査費など実費を請求される場合があります。
不動産会社がポータルサイトへ掲載したり、現地写真を撮影したりしていれば数万円の負担は覚悟する必要があります。
一方、買主と売買契約を結んだ後に売主都合で解除すると債務不履行となり、手付金の倍額返還に加えて売買代金の1〜2割を上限とする違約金が設定されるのが一般的です。
手付解除を使えるのは買主がローン申し込みなど「履行に着手」する前までで、それ以降は損害賠償の対象となるため注意が必要です。

キャンセルしたケース

実家の売却を進めていたものの親の介護が必要になり、買主が見つかる前に媒介契約を解除した例では、実費の5万円のみで済みました。
一方、購入申込書を取り交わした後に売主が気持ちを翻したケースでは、買主が支出したローン事前審査費用も含めて多額の違約金を負担した事例も報告されています。
このほか、近隣トラブルの長期化で心理的負担が増し、売却自体への意欲が低下することもあります。

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不動産売却キャンセル時の違約金の相場

不動産売却キャンセル時の違約金の相場

キャンセル時に最も気になるのは「いくら払うことになるのか」という点です。
宅地建物取引業法では、宅建業者が売主の場合は売買代金の2割を超える違約金条項は無効と定められており、個人の売主でも同水準が慣例となっています。
さらに、消費者契約法は過大な損害賠償予定を無効にできると規定しており、買主の請求額と実際の損害額に著しい差がある場合は減額交渉の余地も残されています。
また、不動産取引にはクーリングオフ制度は原則適用されず、契約書へ署名押印した時点で強い拘束力が生じるため、慎重な判断が欠かせません。
ここでは媒介契約別のポイントと、売買契約後に負担し得る金額の目安を整理します。
事前に契約書を確認し、費用リスクを把握しておくことが欠かせません。

媒介契約後の解除

専属専任媒介契約では売却活動を一社に任せる代わりに、自力売却ができず解除時には広告費や調査費など実費を請求されることがあります。
各社がおこなうレインズ登録やチラシ・ホームページ制作費が計上されやすく、5万円前後が相場です。
専任媒介契約も基本は同様ですが自力売却が許される分拘束は弱めで、請求額は数万円〜10万円程度とやや幅があります。
媒介期間中に購入希望者を案内している場合は内覧同行の人件費を加算する会社もあるため、事前に書面で請求範囲を確認すると安心です。
これらの実費は交付された領収証を基に精算されるため、請求明細を必ず受け取りましょう。

売買契約後の解除

売買契約締結後に売主が解除する場合、買主が履行に着手する前なら手付金倍返しで解除可能です。
たとえば手付金100万円を受け取っていれば200万円を返還すればよい計算ですが、着手後は手付解除ができず、買主から生じた損害を請求される恐れがあります。
新居の仮住まい費用や引越し代、融資事務手数料など実損が加算されると数百万円規模になるケースもあるため、専門家への早期相談が不可欠です。
契約書に解除条項が詳細に定められていれば、トラブルを減らすことにつながります。
また、登記変更を伴う段階まで進んでいれば取り下げ費用や登録免許税の実費も追加で発生します。

違約金の相場

媒介契約のみの段階では、実費分として3万円から10万円程度が一般的です。
売買契約後の解除では総売買代金の1〜2割が違約金の上限とされ、5,000万円の物件なら最大1,000万円になる可能性があります。
高額物件ほど負担が跳ね上がるため、キャンセルの影響をシミュレーションしたうえで判断することが大切です。

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不動産売却キャンセルの流れと方法

不動産売却キャンセルの流れと方法

キャンセルを決めたら、契約形態ごとに定められた流れで正式に解除手続きをおこなう必要があります。
不動産の専門家だけでなく、税理士や司法書士に早めに相談しておくと、税務・登記面の追加費用を含めて総合的な試算ができます。
書面での意思表示と費用確認が共通の鍵で、口頭だけでは証拠が残らず後日トラブルが起きやすい点に注意してください。
ここでは代表的な媒介契約の種類別に、売主が取るべきステップを確認します。

一般媒介契約

一般媒介契約は複数社と同時に契約できるため自由度が高く、売主は解除通知書を内容証明などで送付すれば原則無条件でキャンセルできます。
ただし、インターネット広告や内覧調整にかかった実費を請求される可能性があり、負担範囲は契約時に取り決めるのが望ましいです。
解除時は日付・担当者名・解除理由を明記し、受領確認を取っておくと安心です。
その後、レインズ登録の削除やポータルサイトからの掲載停止を確認し、請求が届いたら領収証を保管しましょう。
近隣への販売活動を停止した旨を連絡してもらえると、無用の問い合わせを避けられます。

専属専任媒介契約・専任媒介契約

これらの契約では解除の書面提出が必須で、不動産会社が負担した広告費や写真撮影費などの実費請求があり得ます。
解除届が受理されたら、レインズからの登録削除や掲載停止の時期を確認し、請求書が届いたら内容を照合しましょう。
費用を確かめたうえで支払い方法を相談し、受領日を含む記録を保管しておくと後日のトラブル防止に役立ちます。
媒介期間満了を待って自然終了とする手もありますが、その間に買主が現れれば新たな義務が生じるため、早めの意思表示が基本です。
万一費用の折り合いがつかない場合は、不動産適正取引推進機構や弁護士会のADRを活用して和解を目指す方法もあります。

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まとめ

不動産の売却は途中でキャンセルできるものの、媒介契約や進行状況により対応や負担が大きく変わる点に注意が必要です。
専任媒介契約などでは違約金が発生するケースもあり、契約解除の際には内容をよく確認することが重要です。
売買契約締結後はさらに手続きが煩雑になるため、費用や流れを事前に把握し、慎重に行動することが求められます。

西宮市不動産売却の窓口の写真

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